8月15日の午後12時半くらいのこと
天気が良い
病気になりそうなほど眩しい日差しの中
することも無いから君と 駄弁っていた
「でもまぁ夏は嫌いかな」猫を撫でながら
君はふてぶてしくつぶやいた
あぁ、逃げ出した猫の後を追いかけて
飛び込んでしまったのは赤に変わった信号機
バッと通ったトラックが君を轢きずって鳴き叫ぶ
血飛沫の色、君の香りと混ざり合ってむせ返った
嘘みたいな 陽炎が「嘘じゃないぞ」って 嗤ってる
夏の水色、かき回すような蝉の 音に全て 眩んだ
♪
目を覚ました時計の針が鳴り響くベッドで
今は何時?
8月14日の午前12時過ぎ位を指す
やけに 煩い蝉の声覚えていた
でもさぁ、少し不思議だな
同じ公園で昨日見た夢を思い出した
「もう今日は帰ろうか」道に抜けた時
周りの人は皆上を見上げ口を開けていた
落下してきた鉄柱が君を貫いて突き刺さる
劈く悲鳴と風鈴の音が木々の隙間で空廻り
ワザとらしい陽炎が「夢じゃないぞ」って嗤ってる
眩む視界に君の横顔、笑っているような気がした
♪
何度世界が眩んでも陽炎が嗤って奪い去る
繰り返して何十年 もうとっくに気が付いていたろ
こんなよくある話なら結末はきっと一つだけ
繰り返した夏の日の向こう
バッと押しのけ飛び込んだ、瞬間トラックにぶち当たる
血飛沫の色、君の瞳と軋む体に乱反射して
文句ありげな陽炎に「ざまぁみろよ」って笑ったら
実によく在る夏の日のこと
そんな何かがここで終わった
♪
目を覚ました8月14日のベッドの上
少女はただ
「またダメだったよ」と一人猫を抱きかかえてた
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