「音楽の切っ掛けは何だっけ
父の持つレコードだったかな
音を聞くことは気持ちが良い
聞くだけなら努力もいらない
前置きはいいから話そう
ある時、思い付いたんだ
この歌が僕の物になれば、この穴は埋まるだろうか
♪
だから、僕は盗んだ」
嗚呼、まだ足りない、全部足りない
何一つも満たされない
このまま一人じゃあ僕は生きられない
もっと知りたい、愛を知りたい
この心を満たすくらい
美しいものを知りたい
♪
「ある時に、街を流れる歌が
僕の曲だってことに気が付いた
売れたなんて当たり前さ
名作を盗んだものだからさぁ!
彼奴も馬鹿だ、こいつも馬鹿だ
褒めちぎる奴等は皆馬鹿だ
群がる烏合の衆、本当の価値なんてわからずに
♪
まぁ、それは僕も同じか」
嗚呼、何かが足りない
これだけ盗んだのに少しも満たされない
上面の言葉一つじゃ満たされない
愛が知りたい、金が足りない
この妬みを満たすくらい
美しいものを知りたい
♪
「音楽の切っ掛けが何なのか
今じゃもう忘れちまったが
欲じゃないことは覚えてる
何か綺麗なものだったな
化けの皮なんていつか剥がれる
見向きもされない夜が来る
その時に見られる景色が心底楽しみで
そうだ
何一つもなくなって、地位も愛も全部なくなって
何もかも失った後に見える夜は本当に綺麗だろうから
本当に
本当に綺麗だろうから
僕は盗んだ」
♪
嗚呼、まだ足りない、もっと書きたい
こんな詩じゃ満たされない
君らの罵倒じゃあ僕は満たされない
まだ知らない愛を書きたい
この心を満たすくらい
美しいものを知りたい
まだ足りない、まだ足りない
まだ足りない、まだ足りない
まだ足りない、僕は足りない
ずっと足りないものがわからない
まだ足りない、もっと知りたい
この身体を溶かすくらい
美しい夜を知りたい
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